「ヘッダーの固定をすると下の背景と重なってしまう」
「ヘッダー固定しながらアンカーリンクさせると思った場所にスクロールされない」
「スクロール位置の調整をJavaScriptで書いているけど上手く動かない」
本日はそんな方に向けて、ヘッダー固定しながらアンカーリンクを動作させるための便利なCSSを紹介していきます。
多くの場合はJavaScriptを使った作り方ですが、初学者の方には少し難易度が高かったりします。
最近ではちょっとしたアニメーションはHTMLとCSSだけで実現できてしまうのでぜひ覚えてもらえればと思って共有です。
また動画もあるので必要に応じて活用してください。
ヘッダー固定でアンカーリンクを上手く動作させる方法
まずは簡単にHTMLとCSSを作ってみます。
<!DOCTYPE html>
<html lang="en">
<head>
<meta charset="UTF-8" />
<meta http-equiv="X-UA-Compatible" content="IE=edge" />
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0" />
<title>Document</title>
<link rel="stylesheet" href="./style.css" />
<script src="./script.js" defer></script>
</head>
<body>
<header>
<a href="#title2">クリック</a>
</header>
<div>
<h1>タイトル１</h1>
<p>
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</p>
</div>
<div id="title2">
<h1>タイトル２</h1>
<p>
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</p>
</div>
</body>
</html>* {
padding: 0;
margin: 0;
box-sizing: border-box;
}
header {
background: #e9e9e9;
width: 100%;
height: 60px;
position: sticky;
display: flex;
justify-content: center;
align-items: center;
top: 0;
}
div {
margin: 100px 0;
}今回はブログ記事のようなものを想定していて、ページ上部の「クリック」を押すと「タイトル２」まで自動でスクロールさせることを目指します。
アンカーリンクが初めての方のために話しておくと、aタグのhref属性に「スクロールさせたい場所のid」を設定するとページ内スクロールになります。
上記のコードで言うと<div id=”titile2″>と言う場所までスクロールさせたいので、<a href=”#title2″>としています。
現状は以下のような動きになります。
クリックした時に自動でスクロールが走るのは問題ないのですが、スクロールして止まる場所が綺麗ではないですね。
このような現象になるのは色んな原因があるのですが、代表的な原因にヘッダー固定があります。
ヘッダー固定はpositionプロパティで「上に重ねる」ような配置になるので、ヘッダーの高さの分だけ覆い被さってしまうのです。
こちらを簡単に解決するためにCSSを以下のように追記します。
* {
padding: 0;
margin: 0;
box-sizing: border-box;
}
// ここを追記
:root {
--header: 60px;
scroll-padding: var(--header);
}
header {
background: #e9e9e9;
width: 100%;
// ここを修正
height: var(--header);
position: sticky;
display: flex;
justify-content: center;
align-items: center;
top: 0;
}
div {
margin: 100px 0;
}CSSではセレクタ名に「: root」とすることで「全体に対する擬似要素」と言うことができます。
さらに「scroll-padding」と言うプロパティがあり、スクロールした際の止まる位置をずらすことができます。
「ヘッダーの高さの分だけスクロールをずらす」と言うことをすればOKなので、scroll-paddingの値はヘッダーの高さを入れます。
今回だと60pxとなるので「scroll-padding : 60px ;」としても良いのですが、後から修正できるようにヘッダーの高さを変数で管理することを上記のコードでは行なっています。
CSSでは「–変数名：値」とすると変数としてプロパティの値を色んな場所で使い回すことができて、実際に変数を使うときは「プロパティ名：var(–変数名)；」とすればOKです。
〜省略〜
:root {
// ヘッダーの高さを変数にする
--header: 60px;
// 変数である--headerを使い回す
scroll-padding: var(--header);
}
〜省略〜
// 変数である--headerを使い回す
height: var(--header);
〜省略〜scroll-paddingのようなものは「: root」の中で記載することで、他の場所でアンカーリンクを作る時に書き直す必要が無くなります。
動作としては以下のように変わります。
ちゃんとタイトル名の場所でピッタリ止まるようになりましたね。
ちなみにscroll-paddingの値であるヘッダーの高さを変数にしていることで、後から値の微調整をすることもできます。
スクロール位置をもう少し下にずらしたいとして以下のようにCSSを修正します。
* {
padding: 0;
margin: 0;
box-sizing: border-box;
}
:root {
--header: 60px;
// ここを修正
scroll-padding: calc(var(--header) + 30px);
}
header {
background: #e9e9e9;
width: 100%;
height: var(--header);
position: sticky;
display: flex;
justify-content: center;
align-items: center;
top: 0;
}
div {
margin: 100px 0;
}CSSでは「calc( )」とすると（）の中で簡単な計算をすることができます。
先ほどまではヘッダーの高さ分の60pxでしたが、追加で30px足して90pxとしています。
するとさらに追加で30px分をずらした位置にスクロールさせることになります。
「タイトル２」と言う文字の上に少し余白ができましたね。
また現状だとスクロールの動きがカクカクしていますので、CSSで「scroll-behavior : smooth ;」というのを追加しましょう。
* {
padding: 0;
margin: 0;
box-sizing: border-box;
}
:root {
--header: 60px;
scroll-padding: calc(var(--header) + 30px);
// ここを追記
scroll-behavior: smooth;
}
header {
background: #e9e9e9;
width: 100%;
height: var(--header);
position: sticky;
display: flex;
justify-content: center;
align-items: center;
top: 0;
}
div {
margin: 100px 0;
}こちらの追加でスクロールが少し遅くなってアニメーションっぽい動きにすることができます。
このようなスクロールの速度調整もJavaScriptで作ることが一般的ですが、CSSだけで書けると楽ですよね。
今まではIEに対して対応していないプロパティだったのでJavaScriptで作る一択でしたが、IEが事実上は考慮しなくて良くなったのでCSSで書くことが増えそうです。
また今回の記事を作成するにあたり以下の本も参考にしていましたので良ければどうぞ